iPS細胞についてノーベル賞にも輝いた奇跡の発見と言われており、治療実績が重んじられる医学研究の中でも作製から6年という短期間で賞に輝くという面からも大きく期待されていることが伺えます。2012年のノーベル生理学、医学賞をiPS細胞を初めて作製した京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所長と、ジョン・ガードン英ケンブリッジ大名誉教授の2人に贈ると発表されました。生物のあらゆる細胞に成長・転用でき再生医療の実現につながることが高く評価された結果になっています。またノーベル賞の授賞理由については、カロリンスカ研究所は声明において「細胞や器官の進化に関する我々の理解に革命を起こした」と説明しています。
実際に山中伸弥iPS細胞研究所長がiPS細胞の作製について報告したことによってiPS細胞研究への参入が増加、再生医療について研究の競争が激化しています。この事からも世界中から注目されていることや、今後の再生医療において奇跡となる存在であったことが伺えます。
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そもそもiPS細胞って?
iPS細胞について、正式名称はnduced pluripotent stem cellであり、人工多能性幹細胞と呼ばれています。自分の皮膚や髪の毛の細胞から抽出して培養し、身体の組織や臓器などの細胞へ分化させることを目的としています。iPS細胞は、万能細胞とも呼ばれており、特に医療の分野から高い注目を浴びています。同じ研究については既存でES細胞というものがありましたが、こちらと比べても身体に対する拒否反応がでにくいことや、倫理的観点からも問題がないことから今後更に研究が進むものだとされています。
ES細胞というものは人間の受精卵から細胞を取り出し、人間の組織や細胞へ転用するというものです。人間の受精卵ですから、そのまま母体の中にいることで赤ちゃんが生まれます。つまり赤ちゃんを成長前に取り出し細胞だけを取る行為に準ずると考えられており、どうしても倫理上の観点から許されないという意見があることや、他人の細胞を使うためある程度の拒否反応が出ることが考えられています。
こうした部分ではiPS細胞は自分の皮膚などの細胞組織を使うためある程度クリアになっています。しかし理論上ではiPS細胞が実用化できれば、皮膚などから精子や卵子を作ることも可能になってしまうため新しい倫理問題が生まれることも考えられています。またiPS細胞の癌化問題があり、解決方向には向かっていますが、こちらも実用化の上で問題になることが予想されます。